契約書のチェックポイント、契約書の作り方

2013年10月23日

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こんにちは。システム担当山本です。
実は弊社では財務会計・経理は私の担当ですが(管理会計は別)、法務も私の担当だったりするのです。はい。
そんなわけで、契約書の作成・外部制作の契約書のチェックは私がします。
そして気づいた、読みやすい契約書の作り方と要チェックポイントをまとめておこうと思います。

いや、経理の時も書いた気がしますけど、起業家志望の人にちょこっと法務の相談を受けたりすることがあるのです。(ちなみに「法律相談」という表現は弁護士法で弁護士の独占です。無料法律相談は除く)

契約の内容

まぁ非常に当たり前なんですが、これが馬鹿にできません。表現やなんやについてはおいておきますが、「いつ」「誰が」「誰に」「何をする」が入っていない場合が稀にあります。口頭の約束内容をもってして当然と思うのかもしれません。
が、正式な文書を作成する場合、これらがないと「それっぽさ」が著しく損なわれます。
「それっぽさ」とは各種証拠とする場合の「証明力」と言い換えてもよいです。

甲乙の表記

契約当事者の名称を甲・乙といった表記で省略することがよく有ります。というか普通省略せずに契約書を作ることはありません。
が、この甲乙表記はなが~い契約書だと途中でどっちがどっちだったかわからなくなったりする時があります。
英語圏の契約書だとこれを組織の略称にすることが多く、弊社の作成する契約書も読みやすいのでこのようにしています。弊社の場合は株式会社ソーシャルデザインなのでSDという略称を使います。
ライセンス契約ならライセンサー、ライセンシーなどという表現もわかりやすくて良いと思います。

準拠法

本契約は日本法に準拠し、同法に従って解釈され、執行されるものとする。
記載が漏れている契約書が割りと有ります。契約において、その契約がどこの法律にそって運用されるかは、契約者双方の合意に基づいて決定することができます。必ずしも契約者双方の属する国や州の法律である必要はありません。
また、準拠法が定義されていないと、契約書に記されていない部分の解釈が異なることになります。例えば日本の商法では遅延損害金は年6%ですが(日本国法に準拠して、かつ遅延損害金の記載がない場合はこれが適用)、租税公課に準じて14.6%としている契約書も多いです。
しかし別の国の法律に準じれば利率が変わる可能性は大いにあります。

完全合意形成

本契約は、本契約の主題に関する当事者間の最終的かつ完全な合意を記載するものであり、かかる主題に関して本契約締結以前の各種の文書による合意および口頭の合意は、全て無効とする。
これも英語圏の契約書に多く見られる表現です。交渉時にいろんなことを営業マンなどが口頭で言ったりすることもあるかもしれませんが、結局合意事項としてはこの契約書であり、これに書いていないことは存在しないですよ。という事項です。
メモ書きだろうが口頭だろうが契約は成立しますので(たまに契約書をかわさないと契約にならないと誤解している人がいますがそんなことはありません)、この条項によって契約内容のクリーンさを確保するわけです。

契約の変更

本契約又は個別契約の全部又はその一部の変更・修正は、甲乙各々を代表する者が記名捺印した書面によらなければその効力を生じないものとする。
前項の完全合意形成と併せて強力な効力を発揮します。すでに書きましたが、口頭による契約も有効な契約です。
なので契約締結後に「やっぱりこうしよう」という口約束も立派な契約として成立するので、場合によっては契約内容が今現在どうなっているのかでモメることになります。
そういったことを防ぐために契約内容変更には文書を交わすという条項を足します。

分離可能性

本契約のいずれかの規定が、理由の如何にかかわらず、無効、違法または強制不能と判断された場合においても、本契約の残りの規定の有効性、適法性および強制可能性は、そのことにより一切影響を受けずまたは損なわれない。
法改正などにより、そもそもの契約の内容が無効となる場合があります。
その場合、契約全体が無効になるのではなく、無効とされた条項のみが無効となり、それ以外の条項については効力を保持し続けるという意味の契約となります。これがないと細かな条項の無効性をもって契約全体を解消されうるので、非常に重要な項目です。

管轄裁判所

甲及び乙は、本契約に関して裁判上の紛争が生じた場合は、大阪地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とすることに合意する。
契約を交わしていてもモメて最後に行くのは裁判所です。とは言え係争した所で儲かるのは弁護士の先生方なのでなるべくなら裁判に持ち込まないのが法務の仕事なのですが・・。
ただ、行くときは行っちゃうので、その時にどこで裁判するかを定めるのがこの条項です。
この時抜いてはならないのは専属的の文字です(抜けている契約書がたまにあります)。これがないと非専属合意になってしまうので、いざ裁判となった時に「やっぱこっちの裁判所にしようぜ」という協議が発生する可能性があります。いざ裁判するとなったときにそのような遅延工作に付き合っている時間はありえないので、ぜひ専属的の文字をお忘れなきよう。

ちなみに管轄裁判所の書き方は、もっと上手い書き方が有ります。
甲の本店又は支店を管轄する地方裁判所または簡易裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とすることに合意する。
という表現です。この書き方であれば自社にとって都合のいい裁判所を選択しやすくなります。
また、簡易裁判所も含めておいたほうが便利なのは、ちょっとした少額訴訟や民事調停、支払督促は簡易裁判所で処理することが多いので、選択肢に入れておくに越したことはないということですね。

さて、ざっくり普段書類をチェックしていて抜けがありがちなところをまとめてみました。いかがでしたでしょうか。
実際には契約内容やら、知財権の取り扱い、守秘契約や再委託制限など細かくチェック、修正を行うのですがどんな契約でも共通する部分で言うとこの辺りが出てきたりします。私の場合は、ですが。
契約書を作る場合でも、法律によって規定されている事項などを踏まえてあえて契約書に詳細を書かずに、ぱっと見ゆるふわ、実際にはいややらしい契約書を作ったりするのも大切です。

日本の義務教育だと憲法とかちょっとやりますけど、そういう総則的な上位法律よりは契約の概念と民法、商法のポイント、労基法あたりを触ったほうが役立つし、実践的なリーガルマインドも養成されるように思うんですが、どんなもんなんでしょうね。

でわでわ。

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